社会が多大な犠牲をはらって応援して産業が伸びても、当初思っていたような恩恵が社会に返ってこないことがある。けど、できれば社会の損失は小さくしたい。空洞も小さくしたい。
しばしば引き合いにだされる例が自動車産業だろう。人の横幅もないような歩道に人と軽車両を押し込めて車道を作って自動車の普及をあとおししたかいあって、日本の人口あたりの自動車普及率はそれなりに高い。2017年の主要国比較で米豪伊加日の順。
国内需要について、米と豪と加は移動に自動車が必要な人が多そうな気がする。伊と日の経緯はたぶん似ている。FCAによると「自動車産業はイタリアの国内総生産(GDP)の6.2%を占める。」なんでこれが「FCAによると」なのかわからないけど、盛った独自の集計なんでしょうか。。。どんな資料でそう説明してるのかわかんないけど。ちなみに日本では、古いけど2014年名目GDPの2.4%(柿沼ほか「自動車産業の現状と今後の課題」『立法と調査』No.378所収)。
なんだけど、日本の輸出額の24.5%が自動車産業。輸出産業の常として、市場国の規制の影響力がすさまじい。ぼーっと規制かけられてるわけじゃないにしても、結局やられちゃうからねぇ。その結果として、国内に製造業の恩恵があまりないことになる。雇用も輸出し、生産拠点が消える社会の健全な成長は難しそうで(これは特定の産業だけのせいじゃないけどね)、こまった気持ちである。